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夏=怪談 (≧ω≦)b [雑ごん]

怪談『とある女の片思い


これはうちの家族が昔体験した本当の話。・・・


いまから10年近く前、ぼくら家族は
古井って土地の小さいアパートに住んでたんです。
見た目は古くもなく新しくもない普通のアパートでした。

うちの両親は結構な旅行好きで、
結婚前にはいろんなとこに旅行してたみたいですが、
こどもができてからはあまり行ってなかったみたいで
一番下の僕が保育園に入ったころ、
家族みんなで旅行行くぞ!って張り切りだしたんです。

旅館の予約を済ませて数日後、
旅行の当日なんですが
兄がいきなり高熱を出したんです。
ふつうの家族なら
ここで旅行をキャンセルして看病するんですが
うちの両親は楽観的なうえに兄はもう小学生だったので

「ドタキャンはダメだし、お兄ちゃんならひとりで大丈夫だよね!」

なんて言って兄をひとり寝かしつけて
家族で旅行に行ったんです。

ところが旅行から帰ると、
兄がなにやら泣きじゃくっている。

「幽霊がでた!幽霊がでた!」

って母に抱きついてるんです。

聞くには、
深夜、兄がひとりで眠っていたとき、
廊下を歩く足音が
部屋まで聞こえてきたみたいなんです。
足音は 

ヒタ・・・ヒタ・・・ 

と大きくなったり小さくなったり
兄は怖くて布団から出れなかった。
誰も居ないはずの家の中で
その足音は静かに冷たく響いていた。
やがて
布団にもぐったまま兄は眠ってしまったそうです。

まあうちの家族はそんなの誰も信じなくて

「どうせうなされて夢でも見たんでしょ」

なんて言って軽く流したんです。

そのうち、また旅行しようって話になった。
「今度こそいく!」
って兄は喜んでたんですが、
また旅行当日、
兄は高熱を出して寝込んでしまったんです。
「どうしても行きたいー・・」
横になりながらもそう言うので
母は兄を連れていこうとしました。
でも
兄があんまり辛そうだから
そのときは仕方なく旅行をキャンセルして
家で兄の看病してやることにしたんです。

でも
なんで兄だけこんな時にかぎって熱を出すのか
だんだん家族も不思議になってきたんです。
姉は

「ひょっとしたらおばけがお兄ちゃんを・・・」

なんて言いました。
でもさすがに信じられませんでした。

それからしばらく経って
また旅行に行くことになった。
まさかとは思ったけど、
またまた兄は熱を出してしまった。
これはさすがにおかしいと思った父は

「辛いかもしれんが一回こいつも連れてってみよう」

と言って、
兄を家から連れ出すことにしたんです。
片道のクルマの中で、
兄は熱のせいもあって眠っていましたが
とくにヘンなこともなく到着しました。

旅館につくと
父は家族にクルマで休んでなと言って
受付を済ませに行きました。
父が受付の前まで行くと、受付の女性の方が

「2名様の□□様でいらっしゃいますか?」

なんて聞く。
まだ名乗ってすらない父は

「いやいや、5人で予約した○○だけど?」

と返した。

するとその女性は


「あ、すみません。おふたりで入られたものですから勘違いして。・・」


と言ったのです。


「赤い服を着た女性の方と並んで入られましたよね?」


家族はクルマで待機していて、
父はひとりだった。
誰かと並んで入った覚えもなかった。

一泊二日の旅行は、
ほとんどが兄の看病に終わった。
とうとう家に帰るまで兄の熱は下がらなかった。

気味が悪くなった父は
旅行が終わるとすぐに引越しの計画を立てたんです。

『きっとこのアパートには何か居るんだ』

引越しの数日前から、
兄はひどい熱にうなされて

「白い手を見た。・・」とつぶやいたり

「つかまれる。・・」と怯えたり・・・

心配でしたが、
何もできませんでした。・・・

引越しが完了すると、
兄の熱は治まりました。

そしてそれ以降

兄が旅行前に高熱にうなされることは無くなりました。


あとから聞いた話だと
幽霊と波長が合ってしまう人間は
幽霊に強くひきつけられ、
幽霊もまたその人を離すまいとするようです。

もしかしたら、
赤い服の女の人は
兄に家に居て欲しかっただけなのかもしれません。


もし、あなたの周りに
遠出する度に体調を崩す人が居るとすれば

それはきっと・・・・


タグ:怪談
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